不適切発言で話題の西村康稔経済再生担当相
いま最も話題の政治家といえばこのお方。
「新型コロナ対策(種類提供停止)に従わない飲食店に「金融機関」からやめてもらうようお願いする方針」
発言で一躍ブレイク。Twitterの政治トレンドにも取り合げられ、世間の話題をかっさらております。
さすがにまずいと思ったのか、トレンド入りしたTwitterを使って、長ったらしい言い訳を投稿する始末。
飲食店の皆様には、新型コロナ対策にご協力頂き感謝申し上げます。この度は、私の発言で、混乱を招き、特に飲食店の皆様に不安を与えることになってしまいました。何とか感染拡大を抑えたい、多くの皆様にご協力頂きたいとの強い思いからではありますが、趣旨を十分に伝えられず反省しております。
— 西村やすとし NISHIMURA Yasutoshi (@nishy03) July 11, 2021
決して融資を制限するといった趣旨ではありませんでしたが、様々なご指摘を重く受け止め、飲食店の皆様のご不安を払拭するため、金融機関への働きかけは行わないこととしました。今後、飲食店の皆様には、時短等の要請にご協力頂けるよう、協力金の先払い制度を導入し迅速な支給を行ってまいります。
— 西村やすとし NISHIMURA Yasutoshi (@nishy03) July 11, 2021
また金融機関には、事業者への資金繰りの支援を重ねてお願いしてきており、飲食店の皆様が事業を継続できるよう、支援に万全を期してまいります。他方、不公平感を解消し要請に応じて頂いている飲食店の皆様のご協力に応えていくためにも、ご協力頂けていない飲食店へも粘り強く働きかけてまいります。
— 西村やすとし NISHIMURA Yasutoshi (@nishy03) July 11, 2021
で、西村大臣発言の何が悪かったのか?
ご商売をされていない方だとちょっとわかりにくいかも。ちょっとお願いしただけじゃん、なんでここまでたたかれるの?って。
それは、「金融機関へのお願い」は実質的には「命令」に近しい効力を持つからです。
金融機関が最も怖いのはお上です(最も怖いのは金融庁)。金融機関に対して政権が「やれ!」と言われたらやらざるを得ません。当たり前ですが、この「やれ!」は単に「お願いしろ」にとどまりません。
政治家は責任を取りたくないので、あくまで「お願い」と言い張っても、その実「トコトンやれ」に近しいプレッシャーとなって現場を襲います。
金融機関はお上に頭が上がらない、金融機関内では上司は絶対、さらには生き残りが厳しい社会でもあります。なので、政治家→頭取→役員→上司→現場に降りてくるにしたがって、「トコトンやる」仕組みが出来上がることは火を見るより明らかでしょう。
上司が部下を管理するにあったって工程表・実績表などが作成され、だれがどれだけ「お願いの結果」を達成できたのか図られることになるように思えます。
表向きは「融資に影響はない」とはいいながら、「お願い」を聞いてくれないお店への心証は悪くなるはずです。つまり実質的に融資に影響はあるでしょう。
中小零細事業者の多くは「融資」によって生きています。
たとえ黒字の会社があったとしても、それは一年を終えて決算したらの話であって、一年の途中では様々にお金がかかって手元のお金だけでは賄えないことがあったりします。
たとえば消費税の支払い日(まとまって大きなお金が出ていく)だったり、社員のボーナスだったり、仕入れ代金だったり、、、企業経営にはまとまったお金が必要になるときはよくあるので「融資」は生きるために必須なのです。
ましてこのコロナ下、赤字経営で運営を「融資」によってつないでいるところは少なくないでしょう。居酒屋なんかはお酒を出して初めて成り立つ商売なので、生きるために酒を出しているところがほとんどでしょう。
そこに「政治家」からのお願い、ですよ。「酒を止める」か「お前が息止める」か選べと言われているようなものです。
昔の殿様は余計なことはしゃべらない。
有名な話ですが、殿様として帝王学を受けた人間は余計なことはしゃべりません。
なぜなら、たとえば出された晩御飯に「まずい」って言ってしまったら、作った人間は処罰されてしまうからです。あいつむかつくとか言ったら、部下がころしに向かうかもしれません。その一挙手一投足が確実に誰かの人生を悪いほうに変えてしまう可能性があるのです。
西村大臣は昔の殿様ほどえらくはないでしょうが、政治家の発言一つで人生狂う人も出てくることまでもイメージしてもらいたい。ましてや今は民主主義であって主権者は国民だ。
アスリートの夢とやらで強引開催のオリンピック。飲食店だってみんな「店を持ちたい」っていう夢を頑張っている。どう違うのか。
別に反自民党というわけではないが、コロナ対応のこのちぐはぐさ、世間との多いなズレに、怒りというより失望を感じざるを得ません・