普通免許で125㏄解禁になるのか?
現在の普通免許で原付まで乗れる枠を延長し125㏄(原付二種)まで乗れるようになる、としばらく前から話題ですが、まだまだ実現されません。
しかしながら、2018年にも原付二種の免許取得が緩和される見通しとなりました。(といってもAT限定だけですが)
小型自動二輪AT限定教習が緩和(取得期間短縮へ)
警察庁は5日、普通免許保有者がクラッチ操作の必要がない125cc以下のオートマチック(AT)限定二輪免許を新たに取得する際、これまで最短でも3日間必要だった教習期間を2日間にする方針を明らかにした。1日に受講できる教習の上限を増やすという。7月ごろの施行を目指しており、教習所によっては週末だけで修了することも可能になる。
~「AT小型二輪、最短二日で=教習受講の上限引き上げ-警察庁」JIJI.com
緩和して最短2日で取れるようになるといっても、教習内容に変化はなく、免許の一日に受けられる教習上限が引き上げられただけ。(第一段階2コマまで・第二段階3コマまでだったものが、4コマに)
普通免許付帯に向けて段階的に緩和されていくのか、それともいまのように免許は別でいくのか、「お上」のほうでも対応が揺れているさまが見て取れます。
滅びゆく原付(原動機付自転車)問題
上記のような規制緩和、そして規制緩和論が出てくる背景には、近い将来、原付の消滅が予想されているからです。
バイクが売れないといわれる昨今ですが、販売台数(34万台)のうち半分近くを原付(16万台)が占めています。
スクーターに代表される50㏄原付は庶民の足としてある意味なくてはならないものですが、実は世界でもほぼ日本だけのもの。ガラパゴス商品なんです。世界的にはもっと大きなバイクが庶民の足として活躍しています。
「ガラパゴスだからどうした、日本で走るもんなんだから世界は関係ない」と思いがちではありますが、ワールドワイドなこの時代だからこそ、原付は滅びの道に入ってきているのです。
世界を取り巻く「環境問題」とバイクへの規制
世界的に二輪・四輪ともに「自動車への排ガス規制」が世界的統一の傾向になってきています。従来からもバイクは段階的に環境対応が求められてきましたが、2020年にはより厳しい規制「ユーロ5(欧州規制基準)」導入が予定されており、それらを見据えて国内のバイクラインナップも大きく変貌を遂げてきています。
ロングセラーの名車SRが一時ラインナップから外れたり、ヤマハは原付スクーター生産も取りやめたりと大きな変化の最中ですが、原付はこの環境規制に対応が非常に困難となり、それが原因となり滅亡への道をたどってきています。
原付での象徴的なのがホンダ「モンキー」の125㏄化です。
ホンダ・モンキーは従来の50CCでは排ガス規制(現行・ユーロ4)に対応するのは困難とし、2017年に生産を中止、一時在庫車両の値段が高騰しました。
その後、モンキーは125㏄で復活します。(乗り出しで40万超えるのでメチャ高いですけどね)
庶民の足である「原付」は滅亡し、125㏄が主流となる時代へ、そして普通免許付帯へ
ホンダモンキーに代表されるように、原付では今後の排ガス規制に対応は困難です。だからとって庶民の足が消えたら社会経済的な不利益を及ぼしかかねません。配達のカブやら通勤のスクータが一斉に消えたら大変になるしね。
実は、欧州やアジア各国など世界的には車の免許で125ccまでのバイクは乗れるので、バイクの環境規制を強めて実質的に原付が乗れないようになるならば、その点でも世界的な潮流に合わせるのが筋ではないか、とも思えます。
すべての基準が都会基準で行われがちですが、交通網の整った都会ならばクルマもバイクも必要なく、必要な人は勝手にとりに行けで済みますが、地方都市などはクルマやバイクが必須であり、とくに小回りの利く原付バイクは老若男女にとって庶民の足としては必須となっています。
スクーターが高くなっている昨今では、電動自転車に代替されている向きもありますが、電動自転車はまだまだバッテリーが持たないこともありちょっとした遠出には不向きですし、荷物を運ぶのも原付よりはずいぶん大変です。
そうこう考えていきますと、いずれ普通免許はアップグレードされ、原付2種を付帯にせざるを得ないのではないかと思えてきます。
「免許付帯は安全性の観点からさせたくはない、でも製品としての原付がなくなる以上何とかしなくてはならない」その行政の焦りと苦悩の中途半端な産物が今回の「小型自動二輪AT限定教習が緩和」しかもAT限定なのではないでしょうか。
普通免許に原付2種付帯させる際の安全性
普通免許で125㏄に乗れるようになるとしたら、気になるのは安全性です。
車に乗ってるとわかりますが、すり抜けをしていく横暴なバイクをたくさん見かけます。キープレフトがバイクの基本ですが、2車線の車と車の間を結構なスピードで駆け抜けていくバカバイクが後を絶ちません。
原付よりパワーのある125ccに普通免許保持者の誰もが乗れるようになるとしたら、より危なくなるのは必定です。これは何とかせねばならない。
少なくとも現在はあいまいなバイクのすり抜けに対する罰則は強化してもらいたいと願わずにはいられません。
製品としての原付滅亡が予想される以上、125㏄付帯も流れだとは思いますが、はたしてどうなるのでしょうか。
以上、ご報告いたします。